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§4-5 橋口五葉 ― 朗読という名の決闘

五葉

展覧会名:『大浮世絵展』

会場:江戸東京博物館

会期:2014年1月2日〜3月2日

《化粧の女》とおなじく、私家版として晩年に制作された。いわゆる大正新版画の特質がよく表れている。川瀬巴水の諸作とともに、スティーブ・ジョブズのコレクションとしても知られる。

江戸東京博物館ほか所蔵。

 

 

瑠未アイコン  
 
一本の小説をうまく朗読できるまでとことん読みこんだら、全然ちがう景色が視えてくるのかもね。
わたしもやってみようかな。

 

 

靖代アイコン  
 
やればいいじゃん。

 

 

瑠未アイコン  
 
じゃあ、観客第1号になってよ。

 

 

靖代アイコン  
 
いいよ。うちの研究室の子たちも連れてってあげる。

 

 

瑠未アイコン  
 
え〜。

 

 

靖代アイコン  
 
観客がひとりじゃ仕方ないだろ。べつに野次ったりしないから、大丈夫だよ。

 

 

瑠未アイコン  
 
そもそも朗読に、野次の文化なんてないから。
 
 

 

靖代アイコン  
 
ずっと黙って聴いてるの?「意義なし!」とか「中村屋!」とか言わなくていいんだ。

 

 

瑠未アイコン  
 
合いの手なんて入れられたら、集中力が…。
子供のころ、親とか祖父母に読み聞かせてもらったイメージだよ。

 

 

靖代アイコン  
 
でも子供って「そんなのズルいよ〜」とか、「負けるな、がんばれ!」とか
しゃべりながら聴いてるじゃん。大人になったらダメなわけ?

 

 

瑠未アイコン  
 
なるほど。たしかに少人数なら、ツッコミを入れるのも面白いかもね。インタラクティブ朗読。
   
 

 

靖代アイコン  
 
それやろうよ、愉しそうじゃん。

 

 

瑠未アイコン  
 
ぜんぜん先に進まなかったりして。    

 

 

靖代アイコン  
 
やりとりが白熱したら、たんなるディスカッションになるな。 

 

 

瑠未アイコン  
 
いいんじゃない?ひとつの作品をオールナイトで、舐めるように、徹底的に語り尽くす。

 

 

靖代アイコン  
 
で、何を読むの?

 

 

瑠未アイコン  
 
そうだなあ…。純粋に朗読してみたいのは尾崎翠だけど、そういう趣向なら、ミステリも面白いかもね。

 

 

靖代アイコン  
 
あっ、わたしもう犯人わかった!みたいな。

 

 

瑠未アイコン  
 
その伏線バレバレだから、みたいな。下手な作品は、コテンパンにされるだろうね。
 
 

 

靖代アイコン  
 
むしろダメなやつのほうが、いじりがいがあるんじゃない。

 

 

瑠未アイコン  
 
神保町の古書店のワゴンセールで、一冊100円のやつを物色してみるよ。
逆に掘り出しものも、見つかるかもしれないし。

 

 

靖代アイコン  
 
でもさ、そしたら練習できなくない?犯人を知ってたらつまらないじゃん。

 

 

瑠未アイコン  
 
語り手は、全知全能のホストになればいいんじゃない?それはそれで、隠す愉しみがあるし。

 

 

靖代アイコン  
 
胴元のポジションだね。誰も当てられなければ、親の総取りか。
作品の難易度と参加者の過去の戦績に基づいて、オッズを決めればいいんじゃない?
ミスリードし合ったり、駆け引きもおもしろそう。

 

 

瑠未アイコン  
 
…なんか、ギャンブル性高すぎない?

 

 

靖代アイコン  
 
何かを賭けるからこそ、緊張感が生まれるんだって。馴れ合いなんかじゃ成長しないぞ。

 

 

瑠未アイコン  
 
いや、成長とかそういうんじゃなく…。

 

 

靖代アイコン  
 
わたしの友達のジャズバーでやったら?雰囲気はいいし、いいお酒も置いてあるし。話はつけておくから。

 

 

瑠未アイコン  
 
もはや朗読会じゃないけど、まあいいか。

 

 

 
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『橋口五葉』コラム
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