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11 Intermission

Abstract

 
 

わたしたちの楽屋裏へ、ようこそ。

『みぎわの夢十夜』の全体の構造に
「遊び」をもたせるために、
気分転換もかねて設けたコーナーです。

舞台はなじみの喫茶店、
老舗の蕎麦屋、
たまには都心のショットバー。
ねぎらいおだてる編集者・鷗田かつみと、
気まぐれひねくれ作家・淺川瑠未との
作戦会議の模様です。

思わせぶりな他界した作家からの引用には、
作品解釈のための重要なヒントが
隠されているとか、いないとか。

 

Fragments

 

1 January 23
お誕生日おめでとうございます!ありがとうございます!「お互いに」今日からため口でいい?そうだね、だいぶこなれてきたし。あと342日、いけるかな?何とかなるよ、みんなでやれば。「あらゆる透明な幽霊の複合体」賢治の宣言の真意、今なら解る気がする。ひとまず種を、蒔き終りますか。

 

2 February 27
テイク・オフ完了おめでとうございます!ありがとうございます!「お互いに」凄いありさまです。大風呂敷どころじゃないな。307日後、どう着陸させるの?解んないよ、わたしのせいじゃないし。「夢想はむしろ精神からの逃避である」三島か。公表物だから、現実的な建築にしてね。解ってる。

 

3 March 25
大丈夫?なぜ。きみがどんどん病んでゆくように見えるから。逆だよ。不当に拘束されていたほうのわたしが、水を得て、活き活きと泳ぎはじめた。善悪一如、か。「脱出を夢見すぎた者は、いずれ夢の中へ脱出して行くしかないのである」安部公房の水深まで、潜りたいな。くれぐれも慎重にね。

 

4 April 21
やっぱり、むりみたい。何が?忌まわしい源泉を覗かずに表現することが。物語に、魂が宿らない。作家の宿命だね。ごく若いうちに、勢いで書いちゃえばよかった。それはそれで、後から辛いんじゃない。そっか。「人生はいつか終るが 海だけは終らないのだ」寺山スピリットで、がんばって!

 

5 May 20
各話のタイトル、早く発表したい?そりゃもう。丸5ヶ月になるし、全部ばっちり決めてある訳だし。読んで下さる方にも不親切だものね。サイトの改装が終わるまで、しばしお待ちを。お任せします。「お貸ししたわたしの片腕は、ものは言わない」ので。皮肉?いえいえ激励ですよ、川端先生。

 

6 July 22
うわ、200回超えてる!為せば成る。初めてにしてはよくやってるよ、「我ながら」。毎日だもんねえ。ストックは?ほぼなし。…マジ?骨子は、把握してるから。ぶっ倒れるなよ。死んでもやり遂げます。Love being stronger than death. 八雲に学ぶのは結構だけど、リアル怪談にならないでね。

 

7 August 30
いよいよ、秋からか。心の準備、できてる?そのつもりだけど、怖いな。趣味じゃないんだから、存在意義を世に問わなきゃね。表には絶対に出ていかないからね、わたしは。解ってます。「少女とはかぎりなく精神的な何者かである」矢川さんにも、読んでほしかったな。いるじゃない、一緒に。

 

8 September 23
カウントダウン、スタート!まだ早くない?二ヶ月なんて、あっという間でしょ。まあちょうど、残り100回も切ったしね。愉しめてますか。…うん。出航時のぎごちなさが薄れて、ようやく板についてきた感じ。「大工さんだつて字書きとおなじ」犀星の淡々さで、よろしく。呼吸のように、積み木のように。

 

9 October 24
うわぁ、あと一ヶ月だ。どうしよう。蓋を開ければわかるさ。気楽でいいよな、ひとを矢面に立たせて。名前は登録したからね?生霊を派遣するよ。視えねえし。手渡しする方が売れるのにな。俗塵にまみれたら、書けなくなるよ?「幻想は彼方からやってくるもの」だから。澁澤節で来られちゃ、敵わないな。

 

10 November 23
ほんとに、明日なのかな。信じられない?浸ってる余裕がない。てんてこ舞いだからねえ。猫の手も借りたい、文化祭前夜状態。愉しそうじゃん。夢中でチョキチョキして、思いっきり床に散らかして…工作好きの自分が、蘇ったよ。「私は勘定がだァいすき」めざせ、商売上手な金子みすゞ!んな無茶な…。

 

11 December 13
とうとうこの世に、出回ったんだよね。うん。実感ないなあ。お客様に逢ってないからさ。感激したよ、本当に。いいなあ。京都は一緒に行く?無理。…アンケート、読んだ?怖くて見てない。例えばね…。待った!年内は「第七官にひびくような詩」の仕上げに、専念します。頼みますよ、令和の尾崎翠さん。

 

12 大団円【起】
瀬戸内の海原を漂流する浮島。和洋折衷の桃源郷。四季折々の草花。啼き交わす霊鳥。オープンエアの、とびきりの宴。優男の操るクルーザー。皆、来てるかな。ジュリアとユッキーは?ヘリで直行。セレブかよ!波止場で手を振る、カツミを抱いた雪子さん。監督は僕がやるから、愉しんできなよ。ありがと。

 

13 大団円【承】
大先生のおな〜り〜。あっさかわ!あっさかわ!かんぱ〜い!互いに言祝ぐ出演者。制服姿の瓜二つ。おばさん、可愛い!オバサン言うな。…お母さん。ごめんね、瑠未。もういいよ。忘れないけどね。ええ。喰べな、あんたの好物ばっかりよ。わあい。お姉ちゃんは?潜ってる。見守る超越者とフェンリル。

 

14 大団円【転】
ケーキに目移りするたかちゃん。のほほんの篠原くん。ね、いつ再会するの?さあね、そのうち。あ、江端さん。お祖母様に、差し入れだ。加賀の銘酒と唐墨。舞い落ちる樹下で、手酌酒。混ざらないの?がやがやは性に合わん。勝手にやってるよ。薩摩揚げ、喰べる?ああ。…また今度、ゆっくりね。ああ。

 

15 大団円【結】
お名残惜しいですが、そろそろ〆の台詞を。誰にする?城島さん。勘弁して下さい。ジョルジーナでしょう、ここは。素知らぬ素振りの喫煙。肩を竦めるジーンとルイス。…アヤメさん?切られる鯉口。おおこわ。…じゃあまあ、お二人で。せ〜の、《持ってけ、泥棒!》拍手喝采。潮風と共に去りゆく浮島。

 
 
 

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