§4-1 橋口五葉 ― 語りはのたりのたりかな
展覧会名:『大浮世絵展』
会場:江戸東京博物館
会期:2014年1月2日〜3月2日
《化粧の女》とおなじく、私家版として晩年に制作された。いわゆる大正新版画の特質がよく表れている。川瀬巴水の諸作とともに、スティーブ・ジョブズのコレクションとしても知られる。
江戸東京博物館ほか所蔵。
朗読会って、行ったことある?
わたしがそんなイベントに参加すると思う?
愚問でした。この前はじめて行ったんだけど、かなり面白かったよ。
朗読って、小説とか読むわけ?
そう。谷崎潤一郎の『春琴抄』だったんだけど、もう、まるで別物。
目をつむって、聞こえてくる声を映像に変換しながら聴いていたんだけど、
なんだか枕元で読み聞かせてもらっているような、懐かしい心地よさがあった。
昔の文学って小難しい言葉がたくさん出てくるけど、受けとめきれるの?
むしろ自分で読むより、ストレスは少なかったな。
へたに悩んだり辞書を引いたりして、流れが止まらないから。
美声の名調子もあいまって、すべて解って浸っているような気になれる。
解った気になる、ってのは面白いな。プロスポーツを観ていると、自分でも簡単にできそうに思えてくる、みたいな。
そうそう、美技を味わっている感覚。深い理解に裏打ちされた達人の朗読には、お金を払う価値があると思うな。
業界活性化のために、朗読トーナメントがあればいいのに。Storytellingだから、S-1グランプリ。
どっかで聞いたような名称だな。勝ち負けはフィギュアスケートみたいに決めるの?技術点とか、芸術点とか。
それなら、技名も決めないと。「決まった〜、三段落、一気通貫ノンブレス!」みたいな。
そういうノリなんだ。もっとこう、将棋中継みたいな感じじゃないの?
ていうか、解説が聞こえると邪魔だよね。
演技が終わってからだな。そうとう評価に偏りがでそうだけど。
予選は星新一のショートショートとかで、勝ち進むにつれて、どんどん長くなってゆく。決勝は『カラマーゾフの兄弟』の読み通しなど、いかがでしょう。
長っ!ひとり演技するだけで、何日かかるんだよ。
朗読スキルのみならず、求道者的メンタルも求められるのだ。
聞き手もいろんな意味で、自分がどこにいるのかわからなくなりそう。
ただでさえ、登場人物が多いからね。あきらめて寝落ちして逃げようとしても、夢の中にまではいってくる。
そのうち語り手も寝ぼけちゃって、同じところをぐるぐる回ってたりして。
夢かうつつか、幽玄の世界ですな。
絵的には、かなり間抜けだと思うけど。
いいじゃん、トリップできれば。
お酒も自由に飲んで、まったりする感じで。
Love & Peace!
目的変わってるだろ、それ…。
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