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§2-2 ミュシャ ― あんた、ちょっとやってみそ

アルフォンス・ミュシャ『イヴァンチッツェの思い出』1903

ミュシャ

展覧会名:『ミュシャ展』
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:2013年3月9日〜5月19日

イヴァンチッツェ市は、ミュシャの故郷。

チェコ共和国東部に位置する。

原画はパリ時代に描かれた水彩画で、のちに市がポストカードとして発行した。

イヴァンチッツェ市蔵。

 

瑠未アイコン

 

――で、今回はこれ。
ミュシャの『イヴァンチッツェの思い出』。

 

 

靖代アイコン

 

まさしく不思議ちゃん全開みたいな絵だな…。

 

 

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このひと、すごい場違いな感じでしょ。
それがどうしても気になって。

 

 

靖代アイコン

 

不吉な雰囲気なのに、幸せそうだよね。

 

 

瑠未アイコン

 

魔女なのかな、と。
背景が古城っぽいし、
わらわらむらがる蝙蝠は、彼女のしもべたち。
そういうゴシックな要素に囲まれて、
うっとりと――タイトルによれば――追憶にひたっている。
なんか、ミュシャっぽくないよね。

 

靖代アイコン

 

お花畑が似合いそうなポーズと、
周囲とのギャップがおかしいんだろうな。
あんた、ちょっとやってみそ。

 

 

瑠未アイコン

 

えっ、なにを。

 

 

靖代アイコン

 

このポーズを。

 

 

瑠未アイコン

 

え〜、こんな感じ?

 

 

靖代アイコン

 

………。

 

 

瑠未アイコン

 

………。

 

 

靖代アイコン

 

……くくく、バカじゃないの。

 

 

瑠未アイコン

 

ケンカ売ってんのかい。

 

 

靖代アイコン

 

いや、要するにだね、
わたしはそんなポーズ
人生で一度たりともやったことないし、
今後も罰ゲーム以外ですることはない、ってこと。

 

 

瑠未アイコン

 

大げさに誇張された演出ってこと?

 

 

靖代アイコン

 

そうそう。
映画でも、そういうたぐいの演技を見ると
吹き出しちゃうんだよね。
フィクションだからさ、地球人類が滅ぶ寸前でも
翼が生えて大空を自由に飛びまわってもいいんだけど、
そういう不自然さは気に食わない。

 

瑠未アイコン

 

あ〜、わかる。

 

 

靖代アイコン

 

ミュージカルも苦手だな。
みんな真顔で会話していたのに、
いきなり歌い出すじゃない?
あれがどうしても、ねえ。
いくらでも笑っていいんなら観るけど。

 

瑠未アイコン

 

そりゃ、周囲から白い目で見られるよ。

 

 

靖代アイコン

 

やっぱり?
まあ古今東西、オーバーな表現形式は
いくらでもあるだろうから、好みの問題なのかな。

 

 

瑠未アイコン

 
いわゆるあざとい演出を、
受け容れられるかどうかだね。
この作品だけど、
何よりもまずポストカードデザインとして
優れているからか、
お花畑ポーズも周囲とうまく調和して、
おもしろい効果を生んでいると思う。
まさに「筋金入りの斬新さ」だよね。

 

 

2-2

 
 
 

『ミュシャ』コラム
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【活動】アート系翻訳者。創作のさいには作家・淺川瑠未を演じます。365日マンダラノベル「#みぎわの夢」を連載中。本そのものを芸術作品と捉え、小説本をセルフプロデュースで制作しています。【嗜好】美術館・名画座・喫茶店に生息。竹久夢二、藤子不二雄、キャロル、ウルフ、ゴーリー、ボルヘス、小泉八雲、宮沢賢治に毒された仏教徒。
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