§2-3 ミュシャ ― 捻くれてないと面白くない
アルフォンス・ミュシャ『イヴァンチッツェの思い出』1903
展覧会名:『ミュシャ展』
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:2013年3月9日〜5月19日イヴァンチッツェ市は、ミュシャの故郷。
チェコ共和国東部に位置する。
原画はパリ時代に描かれた水彩画で、のちに市がポストカードとして発行した。
イヴァンチッツェ市蔵。
種明かししちゃうと、これよく見ると蝙蝠じゃなくて燕なんだよね。平和のシンボル。背景の古城みたいなのも、イヴァンチッツェ市の中心部にある教会なんだって。あと魔女呼ばわりしちゃった女の人は、早世したミュシャの初恋のひとらしい。ついでに原画の水彩画も見てみたら、いかにも追憶してますって感じのセピア色で描かれていた。
そういうことか、なんか変だと思った。じゃあ原画はやっぱりベタなコンセプトの絵だったわけね。
でもポストカードに仕立てるときにモノクロ調になり、サイズも小さくなったせいで抽象化されて、蝙蝠や魔女っぽくみえる余地が生まれた。偶然の結果として、作者の思いもよらない作品になったのが面白いよね。ポストカードっていうのがまた何ともいい。
あんたみたいなスレた観客にとっては、それくらい捻くれてないと面白くないってことか。
ビョークだって、自分にとってすら意外かどうか、という基準で創ってると思う。でないと、世界中のアートファンが驚くような表現なんてできないよ。
まあふつうの奴がやっても、訳わかんなくなるだけだろうけどね。
斬新なだけじゃなくて、きっちり作られた定番ものよりも良くないといけないからね。ヘアスタイルにしたって、頭の右半分がスキンヘッドで左の前半分がアイパー、後半分がストレートロングだったら超個性的だけど、超ダサいからアウトなわけだし。
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