§1-1 ラファエロ ― 第一印象の魔力
ラファエロ・サンツィオ『自画像』1504-1506
展覧会名：『ラファエロ』
会場：国立西洋美術館
会期：2013年3月2日～6月2日21〜23歳ごろのラファエロの自画像。
フィレンツェ滞在初期、
生家のあるウルビーノに帰郷したさいに
描かれたと言われている。
制作者が本人かどうか疑われていたが、
近年の科学的調査により、
ほぼ真筆であるとの確証が得られた。
フィレンツェ・ウフィツィ美術館所蔵。
記念すべき最初のお題は、
ラファエロの自画像です。
『大公の聖母』も
『無口な女』も良かったけれど、
「自分らしいの」を一品えらべといわれたら、これかな。
面食いだねえ。
それ、関係ないから…。
写実性と幾何学性のバランスとか、
洗練された陰鬱なトーンとか、
そういうのがポイント。
あえて豪華な額を合わせていたのも、
センスいいなと思った。
でも、好みなんでしょ？
まあ、そうだけど…。
じゃあその事実は、
どれくらい評価に影響しているの？
ぱっと見で「むむ、美形」とは思ったよ。でも作風そのものに
惹かれたからこそ、よく観察して、原因を突きとめようと思った。
だから絵の全体的な雰囲気と、それを演出する技術が好きなんだと思う。
「何が描かれているか」より「どう描かれているか」
の方が重要だということ？
そうそう。表現スタイルの問題。
本当に、そう言い切れるの？
じゃあこのひとが、うらぶれたオッサンだったら？
それでも「画風が好みだから」これを選んだ？
……選んで、ないな。
そらみろ。
評論家じゃないしねえ。
描きかたに惹かれる＆モデルも好み、という相乗効果なんだろうな。
けっきょくは作品のクオリティの客観的評価というより、
個人的な好みを重視している、ってことか。
「自分らしいの」という基準だからね。
とても上手でもまったく惹かれない絵はあるし、その逆もある。
そういうのって服を選ぶのと同じで、ほぼ瞬時に判ってしまう。
そのうえで私情を交えずに公平に評価するのって、大変だよね。
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