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§1-3 ラファエロ ― 見どころはわたしが決める

ラファエロ・サンツィオ『自画像』1504-1506

ラファエロ

展覧会名:『ラファエロ』
会場:国立西洋美術館
会期:2013年3月2日~6月2日

21〜23歳ごろのラファエロの自画像。
フィレンツェ滞在初期、
生家のあるウルビーノに帰郷したさいに
描かれたと言われている。
制作者が本人かどうか疑われていたが、
近年の科学的調査により、
ほぼ真筆であるとの確証が得られた。
フィレンツェ・ウフィツィ美術館所蔵。

 

靖代アイコン

 

それで?この絵があんたにとっての
ラファエロの傑作、ってわけだ。

 

 

瑠未アイコン
傑作、ねえ。さすがに、そうとは言いづらいな。
優れた出来ばえの作品は、他にいくつもあったし。
『無口な女』なんて、衣服の襞からなにから、
比較にならないほど丹念に描きこまれていた。
わたしは水墨画や水彩画も好きだから、
手数を切りつめた表現に惹かれがちなのかな。

 

靖代アイコン

 

プラス、モデルのルックスにもね。

 

 

瑠未アイコン

 

おっしゃる通りでござんす。
妄想ポイントも高めな絵だし。

 

 

靖代アイコン

 

なにそれ。

 

 

瑠未アイコン

 

右目の下のあたりをよ〜く観てみて。
黒い涙が、すうっと流れ落ちているみたいじゃない?
無表情とのコントラストに、ぐっと来るわけよ。

 

 

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どれどれ。(眼鏡を着用)
…なるほど、そう見えなくもない。
よくそんなどうでも――豊かな想像力が働くねえ。

 

 

瑠未アイコン

 

鼻筋や首筋あたりのヒビ割れも、いい風情なんだよね。
実物を肉眼で観ないと分かりづらいけれど。

 

 

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ヒビずきなの?

 

 

瑠未アイコン
うん、けっこうヒビフェチ。
数百年という時の流れや、繊細なガラス細工のはかなさを想わせる。
目と鼻の先に本物があるんだよなあって、しみじみできるし。

 

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ま、一枚の絵画でそれだけ楽しめたら幸せだわな。

 

 

 

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